加えて、ここを尋ねた一番の動機は、美也子ちゃんのご推薦です。むしろ、ご推薦の弁を聞き、聖フランチェスコなら行ってみるか、と決まったというべきでしょう。
以前ドイツに行ったときも、鉄道の旅を楽しみましたが、外国旅行で公共交通機関に乗るのは楽しみのうちです。イタリア鉄道
間違えて1等車にのったので、検札に来た車掌さんに見つかり、一人あたり€5.3払いました。もちろん2等車に移動してもよかったのです。
アッシジはローマからローカル線で2時間ほど。電車はローマを出るとまもなく田園地帯にはいり、オリーブ畑やひまわり
夫が車内を歩き回っているうち、あるおばあさん(もちろんイタリア人)に窓を閉めてくれ、と頼まれました。イタリア語でいわれたとはいえ、状況的に理解できたようです。で、そのおばあさ
「おお、なんとご親切なこと。外国人にはわからんだろうと思って、声掛けをしてくれるんだわ」と感激して、「んだ、んだ、わかっとるよ」と答えても、なぜか手まね
街に向かうバスに乗り遅れたら嫌だなあ、婆さんが面倒なことを持ちかけたら困るなあ、と脳内黄信号on 。イタリアの駅には改札というものがないので(乗車前の自主改札=切符の打刻と車内検札のみ)、だらだらと駅前まで婆さんに同行。迎えの人が来ているかと思えば、そうではなく、婆さんはタクシー乗り場に立っているオヤジ(つまりタクシーの運転手)に「おまえはステファノではないか」と尋ねる。
あらら、これはどういうこっちゃ、と思う間もなく、運ちゃんは「おいらステファノじゃねえ」といい、婆さんは「ステファノを知らんか」といいつつ、手帳に挟んだ名刺を見せる。婆さん、顔も知らない迎えの人をあてにしていたんだ・・・。黄信号がだんだん赤みを帯び、私は身勝手なイタリア人を見習い、「私らバスに乗るから、さよならね~」と婆さんは運ちゃんに任せて、バスに乗り込んだのでありました。まあ、いたって荷物を持つくらいの助けしか出来ないんだしね。