2009年8月20日木曜日

アッシジへ 

さて、ローマ観光の合間に1日アッシジに足を伸ばしました。アッシジといえば、聖フランチェスコ。動物の言葉がわかるという触れ込みの、動物の守護聖人。今は亡き愛犬が余命カウント状態にはいったとき、わざわざ聖フランチェスコのメダイを取り寄せてつけてやったものです。同じものが私の携帯ストラップにもつけてあります。映画「ブラザーサン・シスタームーン」の主人公にもされ、かなり親しみやすい聖人だといえましょう。

加えて、ここを尋ねた一番の動機は、美也子ちゃんのご推薦です。むしろ、ご推薦の弁を聞き、聖フランチェスコなら行ってみるか、と決まったというべきでしょう。

以前ドイツに行ったときも、鉄道の旅を楽しみましたが、外国旅行で公共交通機関に乗るのは楽しみのうちです。イタリア鉄道 Trenitalia はドイツ鉄道 Deutche Bahn に比べるとちょっと不安でしたけど、思いのほか正確に運行しておりました。ただし、ホームの発車番線は直前まで不明。東京のように常時何番線は何線と決まっているわけではないようです。始発駅も、あらかじめ日本で調べたときは、Roma Tibrtina だったのに、Roma Termini に変わっておりました。

間違えて1等車にのったので、検札に来た車掌さんに見つかり、一人あたり€5.3払いました。もちろん2等車に移動してもよかったのです。


アッシジはローマからローカル線で2時間ほど。電車はローマを出るとまもなく田園地帯にはいり、オリーブ畑やひまわり畑を走ります。マストロヤンニとソフィア・ローレンの名作「ひまわり」も、故郷のひまわり畑とロシアのひまわり畑がかぶっていたのかな、なんて思ったりしながら車窓の風景を楽しみます。なんだかありがたみのありそうな古いお城風のものも見えたりします。電車の速度はかなり速いです。各駅ですが駅と駅とはたっぷり離れているので、ローカル線各駅停車というのろのろ感はありません。

夫が車内を歩き回っているうち、あるおばあさん(もちろんイタリア人)に窓を閉めてくれ、と頼まれました。イタリア語でいわれたとはいえ、状況的に理解できたようです。で、そのおばあさん、アッシジの駅が近づいたら、われわれに向かって(その車両にわれわれのほか客は数組しかいなかった)、「Assisi, Assisi」と呼びかけてきました。

「おお、なんとご親切なこと。外国人にはわからんだろうと思って、声掛けをしてくれるんだわ」と感激して、「んだ、んだ、わかっとるよ」と答えても、なぜか手まねきする。しょうがなしに婆さん(この時点でおばあさんの評価が下がり、「婆さん」と化する)の席まで行くと、どうやら婆さんも同じAssisiで降りるらしい。私の実力をはるかにオーバーしたイタリア語で何やらかんやらしゃべりまくる。困ったことだ。まあ、しゃあないから、とりあえず荷物を持ってあげて、一緒に下車。

街に向かうバスに乗り遅れたら嫌だなあ、婆さんが面倒なことを持ちかけたら困るなあ、と脳内黄信号on 。イタリアの駅には改札というものがないので(乗車前の自主改札=切符の打刻と車内検札のみ)、だらだらと駅前まで婆さんに同行。迎えの人が来ているかと思えば、そうではなく、婆さんはタクシー乗り場に立っているオヤジ(つまりタクシーの運転手)に「おまえはステファノではないか」と尋ねる。

あらら、これはどういうこっちゃ、と思う間もなく、運ちゃんは「おいらステファノじゃねえ」といい、婆さんは「ステファノを知らんか」といいつつ、手帳に挟んだ名刺を見せる。婆さん、顔も知らない迎えの人をあてにしていたんだ・・・。黄信号がだんだん赤みを帯び、私は身勝手なイタリア人を見習い、「私らバスに乗るから、さよならね~」と婆さんは運ちゃんに任せて、バスに乗り込んだのでありました。まあ、いたって荷物を持つくらいの助けしか出来ないんだしね。