2009年8月22日土曜日

アッシジ

聖フランチェスコ大聖堂は駅からバスで10分くらい乗ったところの小高い丘の中腹にあります。
普通は旧市街近くのマッテオッティ広場までバスに乗るそうで、私たちもそのつもりだったのに、バス(満員)に乗り合わせたカブ・スカウトの子どもにつられ、聖堂の下、サン・ピエトロ教会のところで降りてしまい、しばし「ここはどこ?」。ようやく方向を見定め、聖フランチェスコ大聖堂へと向かいます。空は真っ青、丘の上から見下ろす風景は祝されているというにふさわしい、なんというか、人の働きと響きあうような農地です。穏やかな美しさに満たされています。さすが、聖フランチェスコの土地と思わないではいられません。もっと地形的に目を見張る土地はたくさんあるでしょう。でも、土地の優しさ、暖かさというものがあるとすれば、ここに匹敵する場所はそう多くはないような気がします。

聖堂の中はチマブーエやジョットのフレスコ画で飾られています。ジョットの描く「聖フランチェスコの生涯」は大変わかりやすい絵解き聖人伝。


お昼は旧市街へ向かう途中の「イル・フラントイオ」。プリ・フィックスのコース。個人客は私たちだけで、間もなく、席は欧米人の団体20数名と日本人団体8名ほどで埋まりました。日本人団体は世界遺産めぐりのようでした。お味はまずまず。アンティパストのドライトマトのピリ辛オイル漬けが◎。ラビオリもまずまず。セコンドの豚すね肉ローストは美味でしたね~。それに比べてドルチェは・・・まあ、いいや。




アッシジの街はどこといって大通りがありません。曲がりくねった細い道。でも、どこを歩いても素敵です。そうそう高所得の人がいるとも思えないけど、落ち着いているし、観光化が行き過ぎていないし。





大体私はどこへ行っても布きれに弱いので、ここでも当然、刺繍に引っ掛かります。店のドアを開けると、ちょうどおばさんが刺していました。おや、これは中国製のイタリア土産ではないな、とわかり、「いいわね、いいわね、あれ見せて、これ見せて」とお買いもの。中には刺しかけで棚に出してあるものまであって、「ここ、やりかけでしょ?」、「あら、私忘れてたのね(笑)」というなごやかさ。財布のひもも緩むというもの。

神父たちの祭祀に使うものもおいてあり、なかなかしゃれたデザインなのです。思わず、買わないけど写真とるね、でパチリ。おばさん、喜んでくれて、頼みもしないのに棚から聖杯にかける袱紗だの、なんだのと見せてくれて、しかもそのイタリア語まで教えてくれる・・・せっかくのご厚意に背き、教わった単語は一つも覚えておりません。神父の服の「T」はテオのTで、フランチェスコ会のシンボルです。

また別の店では、
「東京から来たの?私東京へ行きたいわ」
「日本人はみんなイタリアへ行きたがるのよ」
「イタリア人は日本が好きよ」
「日本人はイタリアが好きよ」
「イタリア人はイタリアが嫌いよ(笑)」
と、楽しい片言会話。

こちらは食料品店。サラミやチーズその他乾物のにおいが濃厚で夫は入店せず。外でジェラート喰うておりましたわ。












アッシジにあるものでもう一つ見逃せないのが、聖フランチェスコの弟子の聖女キアラ(クララ)にささげられた聖堂。ほのかなピンク色の大理石と白い大理石を用いた、品のよい教会でした。


丸一日アッシジで過ごし、その間、息子は山の上のマッジョーレ要塞へも登って楽し
みました。中世の武器とかあって面白かったそうです。
最後の写真に写っているのがその要塞。





(そうそう、一昔前、一世風靡の安野光雅「旅の絵本」のネタはアッシジとフィレンツェではないかな?)